眉アートメイクは、専用の針で皮膚のごく浅い層に色素を入れ、眉の形や毛の流れを描く施術です。洗っても落ちませんが、肌が生まれ変わるのに合わせて少しずつ薄くなるため、入れ直し(リタッチ)を前提に考える施術でもあります。
このページでは、施術方法の違い、総額でいくらかかるのか、痛みとダウンタイム、そして「思っていたのと違った」を防ぐための選び方を、順に整理します。特定のクリニックをおすすめするページではありません。
眉アートメイクとは?タトゥーや眉ティントとの違い
眉アートメイクは、針の先に付けた色素を皮膚の浅い層に入れて、眉の形や毛流れを描く施術です。表面に色をのせる化粧品と違って色素が皮膚の中に留まるため、洗顔やプールで落ちることはありません。
一方で、入れた色素は肌の生まれ変わりとともに少しずつ排出され、年単位で薄くなっていきます。「半永久的なメイク」と呼ばれることがありますが、永久に残るものでも、逆に翌日すぐ消せるものでもない、という理解が実態に近いところです。
| 眉アートメイク | タトゥー(入れ墨) | 眉ティント | |
|---|---|---|---|
| どこに色を入れるか | 皮膚のごく浅い層 | より深い層 | 皮膚の表面を染める |
| 持ち | 年単位で少しずつ薄くなる | ほぼ残り続ける | 数日〜1週間ほど |
| やり直し | 薄くなったら入れ直す前提 | 基本的に入れ直さない | そのつど染め直す |
| 受けられる場所 | 医療機関のみ | — | 自宅・サロンなど |
深さが違うだけで、「皮膚に色素を入れる」という点はタトゥーと共通です。すぐには消せないこと、薄くするには別の施術が必要になることは、どちらにも当てはまります。
眉アートメイクは医療機関でしか受けられません
針を使って皮膚に色素を入れる行為は、日本では医行為にあたります。そのため眉アートメイクは、医師、または医師の指示を受けた看護師が、医療機関の中で行う必要があります。
この扱いは2025年に国からあらためて示されました。厚生労働省が2025年8月15日に出した「美容医療に関する取扱いについて」(医政発0815第21号)では、眉毛やアイラインなどを描く行為が医行為にあたること、「アートメイク」以外の名称で提供されていても同じ扱いになることが整理されています。
続いて2025年12月26日には、美容所やエステサロンを所管する部署に向けて「美容所等におけるアートメイク施術について」(医政医発1226第3号ほか)が出されました。ここでは、医師免許を持たない人が業として行えば医師法第17条に違反すること、名称を変えても同じであること、悪質な場合には刑事訴訟法にもとづく告発も念頭に警察と連携することが示されています。
出典:厚生労働省「美容医療に関する取扱いについて」(令和7年8月15日 医政発0815第21号)/「美容所等におけるアートメイク施術について」(令和7年12月26日 医政医発1226第3号ほか)。2026年9月22日に確認しました。
つまり、サロンや自宅サロンで「眉ティント風」「眉タトゥー」といった別の名前で行われていても、針で色素を入れているなら医療機関以外では受けられません。予約の前に、そこが医療機関(クリニック)かどうかを確かめてください。
2D・3D・4Dの違い|眉アートメイクの施術方法

描き方は大きく3つに分かれます。クリニックによって呼び名は変わりますが、中身は「面で色を置くか」「線で毛を描くか」「その両方か」の違いです。
| 描き方 | 仕上がり | 向いている人 | |
|---|---|---|---|
| 2D パウダー系 | 面で色を入れる | 眉を描いたようなふんわりした印象 | 普段から眉を描いている/色をはっきり出したい |
| 3D 毛並み系 | 毛を1本ずつ線で描く | 自眉が生えているような立体感 | すっぴんでも自然に見せたい/毛が足りない部分がある |
| 4D 組み合わせ | 面と線を組み合わせる | 毛流れを残しつつ、メイク感も出る | 自然さと華やかさの両方がほしい |
パウダーブロウ、フェザーブロウ、オンブレブロウ、マイクロブレーディング、6D──同じ描き方に別の名前が付いていることがよくあります。名前の数だけ技術があるわけではないので、「面か、線か、その組み合わせか」と「誰が施術するか」で比べるのが確実です。
どれが合うかは、普段のメイクの濃さ、すっぴんで過ごす時間の長さ、自眉の量、肌質によって変わります。脂性肌では細い線がにじみやすいと説明されることもあるため、肌質もカウンセリングで伝えてください。
眉アートメイクの料金相場と、総額でかかるお金
2026年9月時点で複数のクリニックが公表している料金表を見ると、眉の2回セットでおおむね8万〜15万円、1回あたりでは3万〜8万円あたりが中心です。同じクリニックでも施術者のランクによって倍近い差が付くことがあり、「相場」の幅はかなり広いのが実情です。
| 項目 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 初回(2回セット) | 8万〜15万円 | 施術者のランクで大きく変わる |
| 1回あたり | 3万〜8万円 | セットを分割した場合の目安 |
| リタッチ(3回目以降) | 4万〜6万円 | 初回より安く設定されることが多い |
| 麻酔・薬・指名料 | 0円〜数千円 | 別料金のことがある |
| 除去(レーザー) | 1回1万円前後〜 | 回数が必要。クリニックにより幅が大きい |
金額は2026年9月22日時点で、複数の医療機関が公表している料金表を確認してまとめた目安です。クリニックや施術者によって変わるため、最新の金額は各医療機関にご確認ください。
料金を比べるときに見るところ
- 表示が税込か税別か、1回あたりか2回セットか
- 麻酔代・薬代・カウンセリング料・指名料が別料金かどうか
- 2回目を受けられる期限(「初回から◯か月以内」と決まっていることがある)
- 3回目以降のリタッチがいくらか。数年後に必ず関わってきます
- モニター価格の条件(写真の使われ方、施術者の指定、キャンセル規定)
眉アートメイクは自由診療で、健康保険は使えません。美容目的の施術は医療費控除の対象にもなりません。
1回では終わらない理由と、リタッチの間隔

眉アートメイクが2回1セットで案内されるのは、1回目で入れた色がそのまま全部定着するわけではないからです。クリニックの説明では、初回で定着するのは2〜3割程度とされることが多く、1回目で形と色のベースを作り、2回目で足りない部分を補って色を安定させます。
2回目の目安は、1回目から1〜3か月後。色が落ち着いて仕上がりを判断できるようになってからです。そのあとは色が気になってきたタイミングで、1〜2年に1回ほど入れ直す形が一般的です。
ここを踏まえると、眉アートメイクは「一度払って終わり」ではなく、数年単位で費用と通院が続く施術だと分かります。初回の安さだけで決めず、リタッチの価格と通いやすさまで含めて考えてください。
施術当日の流れと、ダウンタイムの1週間
カウンセリングからアフターケアの説明まで、初回はおおむね2〜3時間みておくと安心です。
- カウンセリング・診察:体質、持病、飲んでいる薬を確認します
- デザイン:骨格と自眉に合わせて形を描き、鏡で確認しながら決めます
- 麻酔:クリームタイプの麻酔で感覚を鈍らせます
- 施術:色素を入れます。途中でも仕上がりを確認します
- アフターケアの説明:軟膏やケア方法、次回の目安を聞きます
直後から1か月の変化
施術直後は入れた色がはっきり出るため、想像より濃く見えます。数日のうちに表面がかさぶたのようになり、はがれ落ちると色が薄くなります。そこから色が落ち着き、仕上がりを判断できるようになるのはおおむね1か月後です。
ダウンタイムは1週間ほど、長い場合で2週間とされています。この間は、患部を濡らさない時間を守る、こすらない、はがれかけを無理にはがさない、サウナ・プール・激しい運動・飲酒・日焼けを避ける、といった案内を受けます。守れるかどうかで色の入り方が変わるため、予定が詰まっている時期は避けたほうが無難です。結婚式や旅行、健康診断の予定がある人は、少なくとも2週間前までに済ませておくと落ち着いて過ごせます。
痛みはどのくらいありますか
石井美奈痛みの感じ方には個人差があります。「痛くない」と言い切れる施術ではないので、痛みが不安なことは、麻酔の方法とあわせてカウンセリングで伝えてください。
多くのクリニックでは、施術前にクリームタイプの麻酔を使います。感じ方は人によって違い、眉頭や眉尻など部位によっても変わります。体調や生理周期によって敏感になることもあるため、気になる場合は日程をずらす相談もできます。
眉アートメイクのメリットとデメリット
メリット
- 眉を描く時間が短くなり、朝の支度が楽になる
- 汗や水、マスクの摩擦で落ちにくい
- 自眉の左右差や、毛が足りない部分を補える
デメリット・先に知っておきたいこと
- 簡単には消せません。色を薄くするには除去の施術が別に必要で、費用も回数もかかります
- 年月とともに色みが変わることがあります(赤みや青みに寄る、輪郭がぼやけるなど)
- 流行の眉の形は変わります。数年残ることを前提に、控えめな形から始める選択肢もあります
- 色素によるアレルギーや、施術後の炎症が起こる可能性があります
- 2回セットが前提で、数年ごとの入れ直しも見込んでおく必要があります
- 自由診療のため保険は使えません
「失敗した」と感じやすい4つの理由と、防ぎ方
後悔の声の多くは、技術そのものより決め方に関わるところから生まれます。
| つまずき | 起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| デザイン | 寝た状態で決めた形が、起き上がると印象が違う | 描いてもらったら起き上がり、離れた位置から鏡で確認する |
| 濃さ | 1回目から濃く入れて、思ったより主張が強い | 迷ったら薄め・細めから。足すことはできても引くのは難しい |
| 流行 | その時の細さ・角度が数年後に合わなくなる | 数年残る前提で、自分の骨格に沿った形を優先する |
| 伝え方 | 「おまかせで」と言って、イメージが食い違う | なりたい眉の写真を2〜3枚持参し、言葉ではなく画像で共有する |
当日にデザインを見て違和感があれば、その場で伝えて描き直してもらってください。色素を入れ始めてからでは戻せません。
受ける前に確認したいこと|MRI・医療脱毛・妊娠中など
MRI検査を受けるときは申告する
「アートメイクをしているとMRIが受けられない」と言われることがありますが、正確ではありません。アメリカの食品医薬品局(FDA)は、タトゥーがある人がMRIを受けたときに腫れや熱感が生じることがあるものの、それはまれで長くは続かないとしたうえで、検査の前に申告するよう案内しています。実際に受けられるかどうかは、検査先の医療機関の判断になります。
出典:アメリカ食品医薬品局(FDA)Think Before You Ink: Tattoo Safety(2024年12月17日更新。2026年9月22日に確認)
眉まわりの医療脱毛は、先に済ませる
色素を入れた部分にレーザーを当てると、色が反応して思わぬ変化が起きることがあるため、アートメイクをした部分を避けて照射するのが一般的です。眉まわりの脱毛も考えているなら、脱毛を先に、アートメイクを後にという順番で相談してください。
受けられない人・注意が必要な人
妊娠中・授乳中の方、糖尿病などの持病がある方、麻酔薬や金属のアレルギーがある方、ケロイド体質の方、眉の周囲に皮膚疾患がある方、血をさらさらにする薬を飲んでいる方などは、受けられない場合や、事前の確認が必要な場合があります。当日の体調も含めて、判断は診察を受けたうえで医師に確認してください。
クリニックと施術者の選び方|7つの確認ポイント
- 医療機関かどうか。医師が在籍し、看護師が施術する場合は医師の指示のもとで行われているか
- 自分に近い条件の症例を見せてもらえるか(毛量・肌質・年代・希望の雰囲気)
- 症例が施術直後の写真ではなく、色が落ち着いたあとの写真かどうか
- デザインの決め方。どこまで相談でき、当日その場で直せるか
- 料金の内訳。2回セット・麻酔・薬・指名料・リタッチ・2回目の期限
- アフターケアと、思わぬ症状が出たときの対応。診察してもらえるか
- 通いやすさ。2回目とリタッチで何度か通うため、距離と予約の取りやすさは効いてきます
カウンセリングを担当した人と施術者が別のことがあります。当日に誰が施術するのかも、予約の時点で確認しておくと安心です。
なお、医療機関の広告では「日本一」「No.1」「最高」といった表現や、治療内容・効果についての体験談の掲載が、医療広告のルールで禁じられています(厚生労働省医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針)。こうした見出しを見かけたときは、内容をそのまま受け取らず、料金やリスクの説明が書かれているかを確かめてください。
契約と解約、困ったときの相談先
美容医療の契約は、期間が1か月を超え、金額が5万円を超えるなどの要件を満たすと、特定商取引法のクーリング・オフや中途解約の対象になることがあります。ただし対象になる施術は国が定めた方法に限られており、眉アートメイクがこれに当たるとは限りません。解約したいときの条件と返金の扱いは、契約前に書面で確認しておくのが確実です。
美容医療に関する相談は年々増えています。困ったときは、消費者ホットライン(局番なしの188)や、各都道府県の医療安全支援センターに相談できます。
参考:消費者庁特定商取引法ガイド「特定継続的役務提供」/国民生活センター「美容医療」/厚生労働省美容医療を受けるみなさまへ(2026年9月22日に確認)
よくある質問
一度入れたら、消せませんか?
時間とともに薄くはなりますが、自分で消すことはできません。早く薄くしたい場合はレーザーなどの除去施術になり、入れるとき以上に回数と費用がかかることがあります。「消せる前提」では考えないほうが確実です。
どのくらい持ちますか?
クリニックの説明ではおおむね1〜3年とされますが、肌の代謝、入れた深さ、色、日焼けやスキンケアによって差が出ます。色が気になってきたタイミングでリタッチをする形が一般的です。
保険は使えますか?医療費控除の対象になりますか?
美容目的の眉アートメイクは自由診療で、健康保険は使えません。医療費控除の対象にもなりません。
眉毛は生えてこなくなりますか?
毛根を壊す施術ではないため、自眉が生えなくなるものではありません。自眉の手入れは今までどおり必要です。
MRI検査は受けられますか?
検査前にアートメイクをしていることを申告してください。腫れや熱感が生じることがあるとされていますが、まれで長くは続かないとFDAは案内しています。受けられるかどうかは検査先の医療機関の判断になります。
眉の医療脱毛と、どちらを先にすればいいですか?
アートメイクを入れた部分にはレーザーを当てられないことがあるため、脱毛を先に済ませるのが一般的です。両方を考えている場合は、順番を先に相談してください。
男性でも受けられますか?
受けられます。メンズ向けのメニューを設けているクリニックもあります。毛流れを描く方法のほうが自然に見えやすいため、仕上がりの希望を具体的に伝えるとイメージが合わせやすくなります。
サロンで受けてしまいました。どうすればいいですか?
まず、赤みや腫れ、痛みなど気になる症状があれば医療機関を受診してください。医師免許のない人が業として行えば医師法違反にあたるため、契約や返金でもめている場合は消費者ホットライン(188)や保健所に相談できます。


