公務員であるなら、お金を借りるときまず思い浮かぶのは共済組合の融資でしょう。
共済組合は勤続年数に応じ借入可能額が決まっており、要件に合いさえすれば手軽に利用できます。
また、保証人不要であったり、資金使途が高額療養費や出産療養費の場合などは無利息であるなど、そこには公務員ならではの優遇が。
しかし最近は銀行でもローンに力を入れています。
果たして共済組合と一般的な銀行、公務員はどちらが最適なのでしょうか。対象用途や審査内容など、いくつかのケースを紹介していきます。
どちらでも借り入れできる公務員だからこそ、両者のメリットデメリットを知っておくべきだと思うんだ。
共済組合はいくらまで借りられるか
共済組合の借入限度額は原則、給与月額・あるいは勤続年数(組合員期間)等をベースに計算した額から、借入種類によって設けられている「借入上限額」「最低保証額」を満たす金額となります。
自動車や家電等を購入する資金を必要とするとき(普通貸付)
「給与月額に勤続年数に応じた所定の係数を乗じて出された額と、上限額のどちらか低い方」という「借入上限額」が設けられている決め方です。
※給料月額の6倍の範囲内(限度額200万円)
給与月額 | 借入上限額 |
---|---|
20万円 | 120万円 |
30万円 | 180万円 |
40万円 | 200万円 |
住宅を新築又は改築等する資金を必要とするとき(住宅貸付)
「貸付申込時の給料月額に、【表1】の組合員期間の区分に応じた月数を乗じた額の範囲内(限度額1,800万円)。
なお、【表1】により計算した額が、【表2】の組合員期間の区分に応じた額に満たないときは、当該額の範囲内」という「最低保証額」が設けられている決め方です。
引用元:地方職員共済組合 貸付事業の詳細
【表1】
組合員期間 | 月数 |
---|---|
1年以上 6年未満 | 7月 |
6年以上11年未満 | 15月 |
11年以上16年未満 | 22月 |
16年以上20年未満 | 28月 |
20年以上25年未満 | 43月 |
25年以上30年未満 | 60月 |
30年以上 | 69月 |
【表2】
組合員期間 | 最低保証額 |
---|---|
1年以上 3年未満 | 100万円 |
3年以上 7年未満 | 400万円 |
7年以上12年未満 | 700万円 |
12年以上17年未満 | 900万円 |
17年以上 | 1,100万円 |
ご覧の通り、個別に審査をして借入限度額が決められるというよりは、あらかじめ決められた方法で機械的に限度額が決められていることがお分かりでしょうか。
非常にわかりやすい一方で、もしかすると勤続年数がたらず借入希望額に満たない可能性がありますね。
これに対し、銀行のローンは「返済比率」といって年収を基準にその人ごとの借入限度額を審査するのです。
例えばサラリーマンのように安定した年収がある方ですと、返済額を年収の一定割合までに抑え、期間を長くとることで借入額を増やすことができるでしょう。
仮に年収が500万円であれば、金利3%として返済期間5年で、年収と同じ500万円を借りることができます。
共済組合よりも多くの金額を借りる可能性があるので資金計画が立てやすくなると思いませんか?
対象用途は決まっているのか
共済組合も銀行も、基本は対象用途が決まっています。
主だったところではマイホームや車のローンなのですが、共済組合はさらに細分化され、教育・出産費用・医療費をはじめ、災害、介護費用などに特化した融資制度が用意されています。
共済組合は借入限度額や期間など細かく決められていますが、出産費や高額医療費などの融資は金利が安いなど有利な条件となっているので、要件が合えば用途にあった融資を利用すべき。
銀行ローンは主に3種類にわかれます。
- 目的型ローン
- フリーローン
- カードローン
「目的型ローン」はマイホームや車や教育資金などお金の使い道が明確なものであり金利も比較的安く設定。
「フリーローン」「カードローン」は資金使途が明確でなく、自由に使える融資ですが、目的型ローンと比べると金利が高いです。
カードローンなどはATMで手軽に借入ができ、お金が余ればATMで随時返済ができることが特長です。
表面的な金利は高めですが、こまめに随時返済をすれば実際に支払う金利はかなり抑えられるでしょう。
このように銀行の融資は共済組合より選択肢が広いといえます。
用途が広いのであれば銀行からの借り入れの方が使いやすいんだ。
どのように審査されるのか
審査ですが、共済組合は先ほどの説明の通り「組合員であるか」「勤続年数」「給料月額」等をもとに決められますね。
一方、銀行の場合はより複雑なのです。
共済組合の組合員と違い、銀行では申込人の素性がわからりませんから、慎重にならざるを得ませんね。
銀行は過去の経験をもとに数多くのデータを持っています。
このデータをもとにスコアリングと言う手法で申込人の情報をデータに落とし込み、リスクを判断し、借入限度額を算出。
つまり、融資を申し込むとき申告した勤務先の内容・年収・勤続年数・家族構成・最終学歴など定性的なことが全て審査に関係することになります。
公務員は勤務先の倒産と言うものがありません。
中途退職の可能性が低いこと、定年退職までの予想年収など統計データが発表されています。
客観的なデータがあると、お金を貸す銀行も安心ですね。そのような理由で公務員は銀行でお金を借りやすいのです。
次に個人信用情報のチェックに進みます。
貸金業者は日本貸金業協会指定信用情報機関が指定する個人信用情報を参照します。この指定信用情報機関は国内で数社しか存在せず、全ての金融機関は、事実上同じ個人信用を見ることにより信用を判断します。
そういった意味から、銀行・クレジットカード会社・消費者金融は会社が別でも全て個人信用情報でつながっているのです。
過去数年以内に借金を踏み倒したり、債務整理の経験などのブラック情報があれば場合はここで審査がアウトになります。
個人信用情報のブラック情報は数年間で消えると言われますが、実際に借金を踏み倒された金融機関や保証会社は個人信用情報がクリアーになっても、半永久的にその情報を残していますので、お金を借りたなら必ず最後まで返済しなければいけません。
更に反社会勢力に該当しないか独自の調査を行い、漸く審査がOKとなります。
ここまで手順としては複雑ですが、実際はシステムで手続きしますので長くても数日で審査回答が得られます。
共済組合も銀行融資も審査時間にそれほど大差ありません。
共済組合の方が審査の流れは簡単に見えるけど、両者とも審査の時間はそんなに変わらないんだ。
担保・保証人は必要か
共済組合・銀行ともに、住宅ローンであれば不動産担保が必要になります。住宅ローンは借入額が大きく返済期間が長期になるからです。
不動産担保は自宅の土地・建物に「不動産抵当権」という登記をします。登記費用が金利と別に必要なので注意しましょう。
共済組合・銀行ローンともに、住宅ローン以外は担保や保証人が必要になることは原則ありません。
最近、銀行では「経営者保証ガイドライン」に則り、過度に保証人を徴求していません。この流れはローンにも少なからず影響しており、今は一般的に不要になっています。
共済組合と銀行借入どちらがいいのか
共済組合はあらかじめ勤続年数などで借入限度額が決められているので、借入する前に資金計画が立てやすいと言えます。
また途中の繰り上げ返済手数料が無料など、銀行にはないメリットがありますが、勤務先に融資があることを知られることに抵抗があったり、決められた限度額以上の借入れが必要な時には使いにくいと言えます。
一方、銀行は各種申込人の資金使途や属性に応じた申し込みを比較的広く受け付けていて、収入に応じた返済比率で借入限度額が決められるなど民間ならではのサービスになっています。
銀行ローンわざわざ行かなくても、電話やネットで申込みできるものも増えてきましたので、手軽さという点では共済組合に負けておらず、とても相談しやすいといえるでしょう。
共済組合借入のメリット | 銀行借り入れのメリット |
---|---|
組合員であればだれでも利用できる | 収入があれば共済組合よりも多く借りられる |
借入可能額がわかりやすい | フリーローン・カードローンは資金使途自由 |
住宅向等の借入では最低保証額がある | 勤務先に知られることなく借りられる |
繰上返済手数料が無料 | 電話やネットで申込できる |
公務員がお金を借りる最適な方法まとめ
信用最強の公務員がお金を借りるなら、以前は共済組合が一般的でしたが、最近が銀行ローンも使いやすくなっています。
- 銀行の場合、借入限度額はその人の属性応じて決定される。銀行ローンは共済より多く借りられるが、審査より希望の額に届かない場合もある。
- 銀行ローンの場合、対象用途は「目的があるもの」と「使途自由なもの」に分かれる。金利は「目的があるもの」の方が安い。
- 担保・保証人・審査にかかる日数は共済組合も銀行も大差なし。
- 以上総合すると、共済組合は勤続年数で決められた上限以内なら問題なく借りられるが希望の額に足らない場合がある。その点銀行であれば公務員ということで審査が有利となる。
ご自身の資金計画に合わせて、共済組合を選ぶか銀行を選ぶか検討しましょう。